水蛭(すいてつ)と人類

 水蛭(ヒル)は、1〜2世紀頃にできたと推測される中国最古の薬物学書「神農本草経(しんのうほうんぞうきょう)」にも収載されており、古くから薬用、医療用として使われてきたといいます。

水蛭は古代ヨーロッパでも広く薬用として使われていました。

この地上には450種もの水蛭が存在し、漢方に用いるのは3種類だけです。


 中国4千年の歴史の中でヒルは、人々の健康に身近なところで役立ってきました。

またこのことは古代エジプトをはじめとする古代ヨーロッパでも同じことがいえます。

ヒルがもっているヒルディンという酵素に理由があります。

このヒルディンという酵素が血液のドロドロや固まりを溶かし、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防や治療に役立つのです。

古代中国やヨーロッパの人々はこのことをよく知っていてヒルを食したり、患部を吸わせたりしていたのです。









●水蛭(すいてつ)

ウマビル(寛水蛭<かううすいてつ>)〔Whitmania Pigra Whitman〕は、中国の湖、池、水田中に生息し、水中浮遊生物、小型昆虫、軟体動物を餌として生きている。


成分:

新鮮な水蛭の唾液腺中には一種の抗凝血素、ヒルディン(水蛭素)といわれる酵素を含む。

65個のアミノ酸からなるポリペプチドである。

また抗凝血素ヘパリン、抗血栓素などを含む。















作用:

水蛭の水、クロロホルムおよびアルコールエキスは、ネコに対し血圧降下作用及び処女モルモット子宮収縮作用があり、ヒスタミンまたはヒスタミン様物質がある。

またひ水蛭エキスはさ催リンパ作用が強い。

ヒルディンを注射した家兎の血液は、長時間流動性を保ち、これから分離した血漿、血球、トロンビンなどは、これにフィブリノーゲンを添加しても凝固しない。

水蛭には血液凝固抑制、溶血栓作用がある。


適応症:

駆お血、通経薬として用いられる。

妊婦には注意が必要である。